NetWalker備忘録

作成日:2014/01/08
最終更新日:2020/07/05

NetWalker備忘録

作成日:2014/01/08
最終更新日:2020/07/05

概要

NetWalker PC-Z1はUbuntu 9.04を採用しています。 最近リカバリしたところ、パッケージのインストールなどが失敗するようになりました。 Ubuntuの公式で既に9.04はEnd-of-Lifeとなり、サーバーが移転しています。

作業の備忘録を残すとともに実験したことを記録したいと思います。

リカバリ後にすること

リポジトリの設定変更

Ubuntuのaptのリポジトリ設定を以下のように変更します[1]。aptのリポジトリの設定ファイルは/etc/apt/sources.listです。 また、deb-srcの方は/etc/apt/sources.list.d/jaunty-areno.listに記載されています。

ソース1. Ubuntuのaptのリポジトリ設定
deb http://old-releases.ubuntu.com/ubuntu jaunty main universe multiverse restricted
deb-src http://old-releases.ubuntu.com/ubuntu jaunty main universe multiverse restricted

設定変更後、以下のコマンドを発行します。その際、ネットワークに繋がるように設定しておく必要があります。

コマンド1. リポジトリの更新
$ sudo apt-get update
$ sudo apt-get dist-upgrade # 保留されているパッケージも更新

Pythonのインストール

2.7系のPythonが必要なのでソースからコンパイルします[2]。まずは、構築に必要 なソフトウェアをインストールします。

コマンド2. Python環境構築の準備
$ sudo apt-get build-dep python
$ sudo apt-get install zlib1g-dev

途中でTeX関連のパッケージのインストールに失敗します。これを回避するため に/usr/share/texmf-texlive/tex/latex/base/latex.ltxの533行目 の65を255に置換します[3]。その後、上記のコマンドを再度試行します。

ソース2. latex.ltxの修正
\ifnum\count@>255

Pythonを公式サイトからダウンロードします。今回は2.7.6を使用します。Pythonをmakeする前に zlib1g-devをapt-getでインストールしておく点が重要です。

コマンド3. Pythonのインストール
$ tar xzf ../Python-2.7.6.tgz
$ cd Python-2.7.6
$ ./configure --prefix=/usr
$ make
$ sudo make install

ただし、この後「アップデートチェック中に問題が発生しました」と表示されるようになりました。Pythonを無理やり入れたためでしょうか?

MicroSDのext3化

NetWalerのFlashROMにダメージをあまり与えたくないのでMicroSDカードを ext3化します[4]。MicroSDカードをアンマウント後、以下のコマンドを発行します。

この処理を行うとパーティションの型を変更したMicroSDカードをWindowsで認識できなくなります。

コマンド4. fdiskの実行
$ sudo fdisk /dev/mmcblk0

コマンドは「t」を入力し、16進数コードは「83」を入力します。最後にコマン ド「w」を入力しパーティションの型を確定します。

このとき、またMicroSDカードがマウントされるのでアンマウントします。 その後、以下のコマンドを発行してファイルシステムを作成します。

コマンド5. ファイルシステムの作成
$ sudo mkfs.ext3 /dev/mmcblk0p1

Bluetoothの設定

Hamamatsu.rb #34に 行ったクリスマス会のプレゼント交換 でsuchiさん提供 のRBK-2100BTJが当たりました。NetWalkerのキーボードに不満があったので早速使ってみます。

まずは、Bluetoothのドングルを入手します。今回はOAナガシマでLBT-UAN03C2BKを調達しました。NetWalkerで認識するような記事をWeb上で見つけられません でした。

リカバリ前は認識しなかったので、Gentoo Prefixでシステム全体を更新すれば認識するのではないかと考えました。しかし、リカバリ後アップデートしたところ認識してくれました。

だいぶ入力が楽になりました。suchiさん、ありがとうございます。

Gentoo Prefix

事前準備

前述したようにUbuntu 9.04はEnd-of-Lifeになっており更新が望めません。 そのためGentoo Prefixを用いて最新の環境を導入できるようにします[5]。 まずは、環境を構築するのに必要なソフトウェアをインストールします。

コマンド6. Gentoo Prefix 環境構築の準備
$ sudo apt-get install bzip2 build-essential bison libreadline-dev libncurses-dev autoconf lzma

導入

Prefixをインストールする場所を決めて、変数EPREFIX に設定し、PATHも通しておきます。 今回はext3化したmicroSD上の /media/disk/gentoo にインストールします。

コマンド7. Gentoo Prefix 環境構築のための設定
$ sudo mkdir /media/disk/gentoo
$ sudo chmod 777 /media/disk/gentoo
$ export EPREFIX="/media/disk/gentoo"
$ export PATH="$EPREFIX/usr/bin:$EPREFIX/bin:$EPREFIX/tmp/usr/bin:$EPREFIX/tmp/bin:/usr/bin:/bin:$PATH"

次にスクリプトファイルをダウンロードします。 リンク先のページの左下にテキストファイルのリンクがあります。 スクリプトファイル自体は/media/disk以下に格納しました。 スクリプトに実行権を与え、実行します。

コマンド8. Gentoo Prefix の環境構築
$ chmod 755 bootstrap-prefix.sh
$ ./bootstrap-prefix.sh $EPREFIX tree
$ ./bootstrap-prefix.sh $EPREFIX portage
$ ./bootstrap-prefix.sh $EPREFIX/tmp stage1
$ ./bootstrap-prefix.sh $EPREFIX stage2
$ ./bootstrap-prefix.sh $EPREFIX stage3
$ hash -r

Ubuntu 9.04側でPythonをmakeする際にzlib1g-devパッケージがインストールさ れていない場合は、stage3をインストールする際に以下のエラーが表示されます[6]

コマンド9. zlib1g-dev未インストール時に表示されるエラー
ImportError: No module named zlib python

無事、インストールできたらemergeします。

コマンド10. emergeの実行
$ emerge -e system

参考文献

  1. Kapper, モバイルUbuntu、NetWalker登場 アップデートマネージャエラー対策 リポジトリ設定編 その120, Kapperのブログ 新館, 2011
  2. Kapper, モバイルUbuntu、NetWalker登場 Python 2.7.3 最新版コンパイル編 その174, Kapperのブログ 新館, 2012
  3. Kapper, モバイルUbuntu、NetWalker登場 tex インストールエラー対策編 その176, Kapperのブログ 新館, 2012
  4. 米田聡, NetWalkerガリガリ活用術 , ソシム, 2010
  5. Kapper, モバイルUbuntu、NetWalker登場 最新環境構築 Gentoo Prefix on Netwalker インストール編 その175 , Kapperのブログ 新館, 2012
  6. machua, ImportError: No module named zlib python, 禿散らかしてごめんなさい, 2012